じゃ、またな
“20代最後の思い出” にと、不意に思いついて1997年にアフリカを走るレース:パリ・ダカールラリーに出場した事がある。ありがたい事に10年経った今でも声がかかり、人前で話をさせて頂く機会が時々ある。(もちろん最後にはおにぎり隊の話へ繋げて話させて頂くのだが。笑)
準備の1年半とレースの16日間:8500Km。全ての出来事が始めての経験で、しかも強烈な記憶として今でも鮮明に俺の深い部分に刻まれている。体験談として話をしたいことは数多あるんだけど、10年という歳月を消化した上で改めて振り返り味わうことの出来る大事な思い出の一つが、『仲間との再会』。
完走率30~40%程、初出場の選手だと10%足らずしかゴールに帰ってこないこのレースに普段車に全く乗らない所謂ペーパードライバーの俺がゴールに辿り着く確立はきっと更に低かったことだろう。
素人ばかり集まったチーム。みんな個性の強い自分勝手な奴等ばかりだったけど、レースが始まると熱い結束が出来上がった。一日平均600km。スタート地点で握手と共に交わす『じゃ、またな』の言葉。ステージによっては数日メカニック等のサポートメンバーと会えないこともある。
早朝4時頃からスタートするも帰ってくるのはいつも深夜。ハードな一日のレースを無事終えてその日のビバーク地へと帰ってくる。砂漠の中に突如作られるビバーク地はまさに軍隊の駐屯地の様相を呈している。
疲労困憊の中、集結する各チームのマシン達の間を縫って走っていると真っ暗闇の中から聞き覚えのある声が。『帰ってきた~っ!』 主催者の発表するリタイアリストを時々見ながらも暗闇の中帰ってくるであろう俺の車のヘッドライトをジッと探してくれていたのだ。
『今日も生きて帰ってきたな』
『当ったり前よぉ』
そんな会話の中に僅か十数時間後の再会にえらく感動している自分に気がつく。仲間って良いもんだ・・・

時は変わって先日のおにぎり隊ウォークラリー。
出発地点で炊き出し隊のメンバーがウォーキング組を見送ってくれた。そして交わす挨拶。『じゃ、またね』
20kmの道程。桜満開の東京の街をいつもとは違う目線でスピードでじっくりと抜けてゆく。
6時間後の再会では割烹着姿に変身、しゃもじ片手に満面の笑顔で出迎えてくれた。
『お疲れさま~』
この一言がなんだかとても大切な瞬間に思えた。
再会を誓う一言の後に流れる時間が濃密であればあるほど再会というものはどんどん美しいものになってゆくもんなんだな…。先日のウォーキングからふと10年前の『じゃ、またな』をひとり含み笑いと共に想い出したのだった。

