報告書



●トレインピクニック
 恵美 敬雄

 その日ぼくはお腹を下してしまった。トイレが込み合っていたので、生まれて初めてエリトリアの青空の下、用を足した。
そして汽車は僕たちを乗せ、マッサワへと発車した。
 汽車は普段そんなに走っていないのか、線路沿いにいる人たちがとても楽しそうな顔で見ていた。汽車の中では、みんなそれぞれにトレインピクニックを楽しんでいた。
車窓から広がる景色は壮大で、いくら見ても飽きなかった。
コーヒーセレモニーや踊りもあって、にぎやかな汽車の旅だった。

 汽車の一番前に行ってみた。
そして、そこには一人のおじさんがいた。どうやらブレーキをかける作業をしているみたいだ。
そのおじさんは備え付けのいすを開き、僕に座れといってくれた。そこは特等席だった。風もまともにあたるし、機関車の音もうるさい。もちろん、すすも体についた。しかし、爽快だった。
おじさんと一緒に爽快だった。お腹のこともそのときは忘れていた。今でもあの感じは忘れがたい。
ぼくのトレインピクニックの思い出だ。


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